- 2017.01.12
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先日、あるお客様が久しぶりにご来店されスーツをご注文されました。その時の会話です。私「以前にお作りいただいた時から型紙が若干変わりましたので、採寸・補正を一から見直しますね。」お客様「えっ、変わったの?前に作ったスーツが気に入っていたのに・・・。前と同じにできないの?」私「それはできないんですよ。型紙が変わったと言っても以前と比べて大きく変わったわけではなく、よりブラッシュアップされましたので、以前のスーツ同様にきっと気に入っていただけると思います。」お客様「ところで型紙を変える意味って何なの?」私「もちろん細かなディテールやデザイン(雰囲気)の改良もありますが、実はオーダーシートの統計を取って補正の多い箇所を割り出し、その補正を型紙に反映させているんですよ。補正は少ないに越したことはありませんからね。」お客様「へぇ~、そこまでやってるんだ、すごいね。」
私としてはお客様にご納得いただけて何よりだったのですが、この会話の中で頭をよぎったのは『不易流行』の言葉でした。不易=不変、つまり永遠に変わらないこと。流行=時代や環境によって変化すること。この相反する言葉、矛盾しているように思いますが、実は本質は同じなんですね。不易は流行によって変化することで不易となり、流行が永遠性を得ることで不易となる。ものごとの本質を深く知ることから新しいものが生まれるということです。いつになく真面目で硬い話になりましたが、今年は世界情勢を見渡しても先行き不透明感が半端なく、日本もあらゆる面で過渡期に来てると感じています。かと言って、私ごときが何もできるわけでもなく、不易流行の本質を考えながら、流されることなく日々の暮らしを充実したものにせなアカンなぁと思ったのでした。(大阪店 工藤)