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今どき、こんなオーヴァー・コートは手に入らない。

化学繊維が開発されていない時代には、天然繊維でつくられたさまざまな防寒用アイテムが存在していました。メインは、もちろんウール素材。今でいうスーツが「コート」呼ばれており、その上に着ることから「オーヴァー・コート」(コートの上に羽織る)としてビジネスからフォーマルまで、素晴らしいデザインのアイテムが発案されてはビスポーク・テーラーでカタチにされてきました。

フォーマルのカテゴリーでは、〈チェスターフィールド・コート〉や〈インバネス・コート〉など。もう少しくだけたものでは〈アルスター・コート〉、〈ウエイト・コート(ポロ競技の待ち時間に着るパドック・ウォーマー)〉、そして狩猟用から転用された〈カバート・コート〉、〈ローデン シューティング・コート〉などが有名です。その他、英国陸軍や英国海軍の将校向けの外套から生まれたウールおよびコットンのコートがあります。

残念ながら、これらの歴史的かつ優美なオーヴァー・コートのほとんどが、ビスポークだからということもあるでしょう、現在ではほとんど製造されなくなっています。また、デザインをアレンジされ、本来の魅力を完全に失ったものが市場にあふれています。

これら古(いにしえ)のオーヴァー・コートが持つ本質的な洋服としての美学を、私たちバタクでは現代に展開しようと開業以来、熱い想いで仕立て作業に取り組んできました。紹介いたしますのは、そんな強い意志の下に展開しているオーヴァー・コートの「お客さまお仕立て上がり」です。オーヴァー・コートがお好きなお客さまで、夏場に数着のオーダーをいただきました。きっと、お客さまにはご満足いただけるしょう。バタクおよびバタク ハウス・カットでは、ビスポークはもちろん、廉価のオーダー、既製品など他店では手に入らないオーヴァー・コートをお取扱いしております。

注)掲載しておりますチェスターフィールド・コート。袖口をターンアップにしてほしいとのお客さまのご注文。この仕様はビスポーク・スタイルドのオーダーだけで承っております。

▲「カバート・コート」。スタイルド・ビスポークでのお仕立て上がり。服地は、英「ラバット・ミル」に別注した495gのオリジナル「カバート・クロス」。この服地自体はコート用服地として認知されていますが、スーツや単品トラウザーズとしても選択いただけます。お仕立て価格はお電話でお問合せください。全店で対応いたします。

▲「チェスターフィールド・コート」。スタイルド・ビスポークでのお仕立て上がり。

服地は、「ジェームス・スコット」の’80年代ヴィンテージで、ウエイト約650g。当時は茶のコート用服地は流通していましたが、現在ではかなり希少です。密度があるしっかりとした素材感が特徴。一生モノとなりそうです。

 

▲「チェスターフィールド・コート」。スタイルド・ビスポークでのお仕立て上がり。

服地はチャコールのカシミヤ&ビィキューナ。英「ウール・エキスポ」の’80年

代ヴィンテージのお品です。約650gのヘビー・ウエイト。

▲ダブルブレストの〈チェスター フィールド・コート〉。お客様の仕立て上が

りです。スタイルドビスポークで仕立てしております。服地は英「テイラー&ロ

ッジ」へ当店が別注したウエイトは650gの希少服地「ラムズ・ゴールデンベイ

ル」(ウール85%/カシミヤ15%・チャコール カラー)。一般的なオールウー

ルやカシミヤの服地とは異なる、「独特の滑らかさ」、英国服地らしい「耐久

性」を備えた最高峰のオーヴァー・コートに仕上がっております。