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お待たせしました、今秋冬のヴィンテージです。

ヴィンテージ服地の品質を形容するとき、「油が抜けた」と言う表現を使います。しかし、本当に油(油分)が抜けてしまっているような服地はNGです。選ぶべきは、保存状態が良く、織った当時の瑞々しさが想像できるような素材感のもの。決して「油が抜けて」、サバサバしているようなものではありません。良いヴィンテージ服地を見極めるもうひとつの視点に、現代では作り得ない色柄があります。間違うと悪趣味に転びそうに見えて、仕立てて見ると意外に簡素で上品なスーツに仕上がるといった不思議な服地です。さて、そんなユニークで希少なヴィンテージ服地が入荷しました。1960年代物の仏「ドーメル」です。長い間、倉庫で眠っていたお品で、イギリス(たぶん、「ハダーズフィールド」のミルに織らせた)のミルが手がけています。カルゼ風の織りにストライプをアクセンに持たせたレア服地(ウエイト430〜450g)。非常に強いコシを持った仏国内ではほとんど流通していなかったウーステッドです。着てみると予想を裏切るくらい簡素で、60年代にしては軽く程良いしなやかさも兼ね備えています。色目はネービー&ブルーとブラック&グレーの2種2色。全体的には薄いパープル系に見えます。当店では年間で4〜5回のタイミングでヴィンテージ服地が入荷しますが、その7割が秋に集中します。まず1点モノですし、記念ごとが近々あるという方へのプレゼントを含め、アニバーサリーのためにお仕立てするのもよろしいかと。