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そもそもは、高級将校がビスポークしていました。

英国の紳士服は、そのルーツを辿るとほとんどがアーミー&ネイビーを出自としています。誰もが着ているスーツのことを、紳士服発祥の地サヴィル・ロウではアーミースーツと呼んでいるほどです。軍衣料には機能性が当然求められるのですが、それだけではないところに英国軍衣料の魅力があります。彼らの美学でもある、貴族趣味です。普段は典雅な暮らしを享受しながら、有事の時には戦列の先頭に立つという「ノーブレス・オブリージュ」の騎士道的精神。彼らの貴族趣味的な軍衣料に関する考え方にはこの精神性がバックボーンに見え隠れしているのです。では、貴族趣味とはどんなものでしょうか。あえて言うならば、それはビスポークです。かつて(第一次大戦期以前)貴族階級が多い高級将校は軍衣料を自前で誂え、自分の趣味を仕立てや素材に反映したり、お抱えのテーラーで誂えたりするのが通例だったと言います。何しろ、サヴィル・ロウ街自体が軍関係者(貴族)による仕立て依頼や、自分の兵隊に着せる制服を作らせる街として始まったわけですから。さて、そんな軍衣料を出自としているコートに陸軍の「トレンチコート」と海軍の「アクアロック」があります。どちらも、そもそもは高級将校だけに着ることが許された軍衣料であり、素材やディテールについては各々の将校にまかされていたそうです(仕立て費用は自腹)。そこに良くも悪くも貴族趣味が反映されていたので、ビスポークの芸も存分に活かされていました。当店ではほぼカタチや素材が定まり、軍衣料品として支給されるようになった時代の両品をテーラーの目で十全に検討。オリジナルの持つデザインそのままを目指して小量生産しています。

今やモード系&ショート丈が市場を席巻し、クラシックなトレンチコートを探すのは容易ではありません。素材は撥水性能を有する高密度コットン。ここまで凝ったウエスト・ベルトの仕様は世界中を探しても、バタクのトレンチコート(既製品)だけ、と言っても過言ではありません。4月まで着用可能です。サイズ在庫はお電話でお問合せください。

¥138,000(税別)※既製品

ロイヤルネイビーの士官用に誂えられていた防寒・防風コート「アクアロック」、すなわちアクア(水)+ロック(防ぐ)という意味を想起することから防水コートだと思われがちですが、防水性能はありません。ウール・コットン ギャバディン素材の防寒コート(既製品)。意味は「水岩」だとか。4月くらいまで着用可能です。サイズ在庫についてはお電話でお問合せください。

¥128,000(税別)※既製品