現在、冠婚葬祭市場では「葬儀セレモニーの簡素化」「ブライダルのプライベート化」が進行しているそうです。葬儀で言えば、火葬だけを親族で行う「家族葬」的な節約志向。ブライダルの例では、大きな邸宅を1軒丸ごと借りてパーティ会場とする「ハウスウエディング」のような質志向です。大勢の参列者が集う葬儀や派手な演出の披露宴(ハデ婚)も、いまや過去のもの。このような冠婚葬祭スタイルの変化は、フォーマル・ウエアにも少なからず影響を与えています。結婚情報誌の調査(※)では、新郎が選択する礼装の約88%がディナージャケット(タキシード)だと言います。そのうち式場が用意している既製品レンタルが約9割。自らオーダーメイドであつらえるウエアが4%(※)。注目すべきは、かつてコンマ数パーセントだったオーダーによる礼装がグンと増えていることです。理由のひとつに、レンタル価格があります。ディナー・ジャケットのレンタル料は20万円〜25万円(平均15.4万円※)。オーダーメイドと大差がありません。それなら、自分に似合うディナー・ジャケットを仕立てよう、と考えるのも無理からぬこと。また、「ハウスウエディング」のような費用よりもクオリティを優先する生活者の増加も、礼装をオーダーメイドで仕立てる新郎が増えた理由ではないかと推測できます。一方、高齢化が進む中、葬儀市場はどう変化しているのでしょうか。厚労省の統計によると、お葬式への出費単価は長らく減少傾向にあり、高齢人口増による葬儀件数は増えても市場全体では微増に留まっています。ビジネス用のブラック・スーツで冠婚葬祭も済ませてしまうという方が増えているのは、葬儀の簡素化を表す現象のひとつであり、今後私たちが取り組まなければならない礼装づくりのテーマなのかもしれません。そのひとつの取り組みとして、礼装を着る機会が増えるようなプレゼンテーションの実践があります。たとえば、新年の祝賀に着る。古都の街並みでセレモニーを行う。日本国内にカジノができた暁には、ディナー・ジャケットやディレクターズ・スーツをドレスコードとして採用してもらう。礼装を日常的な洋服として捉え、より求めやすいプライスで提供するなど取り組み方は多様です。このように、batak Formal Wearは礼装のスタイルやデザインに関しては徹底してクラシックを貫きますが、その着用環境については先述しました日本の慣習や冠婚葬祭のトレンドと向かい合い、礼装における最善のソリューションをお客様に提供していきます。
※「ゼクシー」2017年調査