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帰って来たぞ、帰って来たぞ。

マーチャント、すなわち服地商あるいは織物商というビジネスは在庫リスクと常に向かい合う難儀な商売なのです。需要を予測して、ある色柄・素材の服地を織物工場(ミル)に注文しても、買い手が付かなければそのまま在庫になります。在庫リスクを回避しようと、少量ロットのオンデマンドな商いを選択すれば、大口の売買チャンスを失いかねません。コンピュータやAiを使い需要予測から生産量などをコントロールすることは可能になりましたが、売れそうな色柄や素材の特性などを的確に言い当てる段階には至っていないのが現状です。‘80年代から’90年代にかけてイタリア製のテキスタイルが一大ブームとなり、それを予測できなかった英国服地のマーチャントが軒並み廃業しています。ロンドンのマーチャント「ウエイン・シール」もそのひとつでした。「スキャバル」社の傘下で一度は看板を降ろし、販売活動を停止していました。現在は自らの商品企画力で完全復活を遂げつつあります。「ウエイン・シール」の魅力は何と言ってもロンドン生粋のセンス。アカ抜けた都会的な色柄の服地を豊富に揃えております。代表的なバンチ(服地見本帖)としてモヘアやシルクの3者混などを揃えた〈ウエインゴラ・シュープリーム〉、落ち着いたピュアウールの〈ピカデリー〉がございます。

■ウエイン・シール

バンチ〈ウエインゴラ・シュープリーム〉

バンチ〈ピカデリー〉

ロンドン市街でもひと際賑わいのあるピカデリーサーカス。同名のバンチの目指すイメージはココなのでしょうか。