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ブレイザーほど難しいものはない。

実はブレイザー・ジャケットほど、仕立ての技量が試されるアイテムはない、と言えるかもしれません。ひとつに、凡庸なアイテムゆえ着映えがしにくく、そもそもオフウエアあるいはスポーツウエアの範疇で着用されるものなので、既製服の作り方で十分消化できるからです。反面、ビスポーク・ウエアとして服づくりをする場合、既製服とは隔絶した圧倒的な仕立て上がり感が問われることになります。しかも、当店がご提案しているサック・カットの場合、コンフォート系のフィット(動きやすさを優先したゆるやかなフィット)を持ち味としているため、どうしても既製服とオーヴァーラップしてしまいがちです。これに取り組むには、上等な服地を持ってしてもテーラーの高度な技術とセンスがなければ立ち行きません。当店の仕立て上がったオリジナル・サックのブレイザーを丹念にご覧になってください。肩の作り込み、背中の立体感、胸部の造形、微妙に絞った胴など、着用するお客様の体系を補完し、優美に見せる仕事がそこかしこに施されています。それは、’60年代IVYでもなければ、アメリカン・トラッドでもない。英国のカレッジ・ウエアの流れを汲むスポーツ・ジャケットでもない。そうした矮小化されたスタイルを入口とする洋服ではなく、ビスポークにおけるコンフォート系フィットを追求・探求した服づくりの結果ーー。それが、バタクのブレイザー・ジャケットであると、ご認識いただければ幸いです。(写真はお客様のお仕立て上がり例です)

※新たにアンティーク加工のオリジナル・メタルボタンを選択できるようにしました。