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ソフト・テーラリングの妙。

服地の持つ性格・特性を余すところなく活かすこと。服地が活き活きと身体にまとわり付くような感覚を目指すこと。それは、柔らかく・軽く、それでいて立体構造をシッカリと維持するための、しなやかな強さを併せ持っています。ドレープ・カットのバックボーンにある考え方。すなわち、「ソフト・テーラリング」というコンセプトから錬磨されてきた、裁断・縫製の妙技がもたらすドレープ・スーツの美点です。さて、そんなドレープ・カットのお仕立例をご紹介します。お客様は、ユニオンワークス銀座店でカスタマーサービス担当(店長)をされているT氏。氏のスーツで注目してほしいところは、肩とボディの柔らかな仕立て感です。なんと、560gもあるヘビー・ウエイトの狩猟着用ホームスパン(英「ポーター&ハーディング」製服地)を使いながら、まるでミディアム・ウエイトのウーステッドのような表情を醸し出しています。仕立て上がったばかりですので、まだ身体に馴染んでいませんが、2シーズン目には心地よい“たわみ”が全体に表れてくるはずです。T様、ご注文・お仕立、ありがとうございました。

一見、グレイ・フランネルに見える3ピーススーツ。実は狩猟用服にも使われるヘビーウエイト ホームスパン。ソーン・プルーフという野山を駆けまわっても植物の棘(とげ)を貫通させない厚みと強さを持ち合わせたヘビーデューティ仕様なのです。