世界中でいちばん「ハリス・ツイード」を使用・購入している国はどこだと思われますか。英国でもアメリカでも中国でもありません。実はここ、日本なのです。現在、「ハリス・ツイード」が織られる量は年間170万メーター。手工業の規模を遠に越えています。その大量に生産されているツイード地の60%(3年前のデータ。現在はさらに増加)が日本市場へ輸出されているそうです。日本人が顧客のほとんどを占めるとなると、おそらく「ハリス・ツイード」では私たちの志向や生活場面、趣味性を周到にマーケティングしているに違いありません。ここ数年の色柄の傾向、着用シーンや素材感などは、確かに日本人ユーザーが求めそうな品揃えを整えています。他のドメスティックなツイード地に比べ、カントリーサイドの荒々しさよりも、都会に暮らす洗練された大人のニュアンスはまさに日本人向けの戦略なのかもしれません。組み合わせるなら、グレイ系やブラウン系の控え目なボトムとし、多種多様な色柄から明るく彩度の強い上着を仕立て、都会的なセンスで楽しむ着方をご提案したいと思います。