ある日、「ラバット・ミル」の社長とお会いしている時でした。ツイードを得意としている同社ですが、社長が以前手掛けていたのは主にウーステッドで「凝ったつくりの服地も引き受ける」とのことから同社に特別注文をお願いすることになりました。当店の要望は、現代の技術でつくる1930年代の英国品質。しっかりした打ち込みの良さを体感できる、長繊維20.5マイクロンという数値の再現です。スーパーの指標ならスーパー60‘ｓ（現在、スーパー表示はスーパー80’sから）に匹敵するでしょう。現在ではどこの服地商やミルでもラインナップしていないスペックです。超長繊維（スーパー120‘sやスーパー150’ｓ）がもたらす「滑らかさ」「艶のある光沢」「軽さ（冬場でも240g〜280g）」といった世界的なニーズ（イタリア製が牽引してきた）と英国らしさの折り合いをつけたらどうなるか。その答えでもある太番手でドライタッチな長繊維服地を、クラシック趣味のお客様にご提案したいと思います 。