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それでも着たい、リネンの魔力。

ウーステッド(薄手の毛織物)に比べ、リネン(麻)はシワになりやすいことから、敬遠されるお客様も少なくありません。さらにウエイトのあるクラシックで本格的なもの(アイリッシュ・リネンのような)を選べば夏服地としての清涼感が失われてしまうのも事実です。ではなぜ、リネンスーツをご注文されるお客様が多いのでしょうか。私どもが長年着込んだものをベースに考えると、リネンの本領発揮だな、と言えるのは着込んで行く過程にこそあるのです。身体に馴染み出すと服地が落ち着き、シワも気にならなくなります。同時に身体に沿うように麻地が丸味を帯びて行き、ウエイトの重い麻地ほど味わいを深めて、エイジングに耐えうる存在に自らのパワーで育て上げていくから不思議です。だからこそ、夏のリゾート・スーツの定番として長く愛用されるお客様が多いのでしょう。クールビズが主流となった今、リゾートだけに留まらず、あえてビジネスシーンでの着用を楽しむお客様も増えて来ています。それは夏の風物詩(風鈴、かき氷、鰻、浴衣・・・)として私たちの暮らしにスノッブな彩りを添えてくれることでしょう。(バタク日比谷 長谷川)

5年着用の「バタク・クロス(リネン)」

15年着用の「スペンス・ブライソン(アイリッシュ・リネン)」