私自身の話ですが、数年前よりカーキ系のスーツを検討しておりました。服地はモヘア混、または平織りと決めていたのですが、ついに理想とする平織りのカーキが見つかりましたので、今回はその服地をご紹介します。私が選んだのは『フォックス・ブラザーズ』の250周年記念コレクションより「フォックス・シティ」の限定服地です。通常の「フォックス・シティ」の中にもカーキはラインナップされていますが、限定服地として “ロンドンシュランク” が施されたカーキが発表されたのです。ロンドンシュランクとは毛織物の防縮安定加工のひとつです。服地を十分に湿らせた状態で1~2日寝かせた後、自然な状態でゆっくり時間をかけて乾燥させて、自然に服地を収縮させる技法です。それにより目が詰まることで服地が美しくなると言われています。また、柔らかな手触りや美しいドレープをもたらす効果があるのです。現在では技術の発展もあり、これらの工程を短縮して短時間で仕上げる技法がとられています。しかし、昔ながらの手間暇かけて服地を美しく仕上げるという非効率的なところに私のようなマニアック気質の男性は弱いのではないでしょうか。色味もグリーンとベージュをメランジュエフェクトしたブリティッシュカーキと呼ばれる正統的なものです。コーディネイトは白シャツに黒のニットタイ、足元はローファーとミニマルにまとめるイメージです。まだ先になりますが、仕上がりましたら改めてご紹介したいと思います。(バタク大阪 工藤)
生地:フォックス・ブラザーズ カーキ
品質:ウール100% 320g
価格:スーツ ¥247,500~