フォックス・ブラザーズのダグラスCEOが12年前に同社を訪れた際に初めて目にしたものの一つが、この服地を纏ったケーリー・グラントの写真。それ以来、再びこの服地を織りたいと思い続け、同社250周年のアニバーサリーでついに実現したのが『ザ・ケーリー・グラント・ストライプ』です。ダグラスCEOの思い入れが詰まった服地になります。しかし、私のファースト・インプレッションは特に針が大きく振れるわけでもなく、むしろ難しいかな、といった印象でした。品質については申し分なく、ウエイトを感じさせない滑らかでソフトな手触り、それでいて詰まった感のあるしっかりとした生地感を両立させるのはさすがフォックスです。ただ一点、ボルドー(エンジ)のストライプということがネガティブ要因だったのですが・・・その心配は杞憂に終わりました。実際に服地をあてて顔映りを見てみると、不思議なほどボルドーのストライプが馴染むのです。ストライプが強く立つような見え方にはなりません。これには驚きました、分からないものですねぇ。正直なところ、誰にでもお勧めできる服地ではありません。着る人を選ぶ服地です。そして、稀に見る秀逸な服地です。仕立て映え、雰囲気はこの上ないものになります。是非、ダブルブレストでお仕立てください。(バタク大阪　工藤)

生地：フォックス・ブラザーズ　ザ・ケーリー・グラント・ストライプ

品質：ウール100％　470-500g

価格：スーツ ￥341,000～