オンシーズンになって着る必要性を感じた時に、「今年は何を着ようか」と思案しがちではないでしょうか。必要性を意識した瞬間に気になるのが注文する洋服の納期です。せっかく誂えるのですから、腰を据えて素材やデザイン、自身の着方まで妥協なく考えたいものです。ビスポーク・メニューの場合はハンドメイドですので、納期の余裕は職人の仕事にも直接的な影響を与えます。何着も注文いただいているお客様(ビスポーク・メニューで)の多くが、仕立の仕上がりや注文内容の吟味を考慮し、スローオーダーを選択されているようです。たとえば、初夏にカバートコートやチェスターフィールドといったコートをオーダーしておいたり、軽量のスーツをオフシーズンの入り口となる秋にご依頼いただいたり、中には納期を決めずに成り行きで注文される方もいらっしゃいます。カスタム・オーダーは単に縫い上った商品を取得するだけでなく、ご自分の美学をテーラーと対話・追求する楽しさがあると考えています。ひとつの選択として季節や納期を考えないビスポークにトライしてみてはいかがでしょう。(バタク日比谷　長谷川)