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ファンタスティックなヴィンテージ

世界で流通しているヴィンテージの生地を見渡すと、モノの良し悪しは別としてスーツ地は枯渇することなく動いてします。しかし、ツイードをはじめとするスポーツジャケットやコートの生地が極端に少ないのはなぜでしょう? そもそも生産量の少なさもありますが、寒さの厳しい欧州において厚手のツイードやコート地の需要は多く、総じて良いものが残っていないというのが実情のようです。そのような現況ですが、アンテナを張っておけば面白い生地に巡り合うことがあります。70年代頃のウェイン・シール「ファンタスティック」です。一見すると重厚なツイードのように見えますが、ハイツイストを用いたスポーツジャケット地になります。当時、この手のジャケット地はヘビーウエイト(400~500g)が主流でしたが、こちらはやや軽量の380g。また、ツイードのようなカントリーな色柄が多くを占める中、こちらは珍しいグレーのチェックです。これらの特徴を踏まえると当時はマイノリティな生地であったことが考えられます。しかしながら、それが50年以上経過して今の時代にフィットすることにヴィンテージ生地の妙と奥深さを感じるのです。