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心躍る、春の礼服[前編]。

先般、エリザベス女王の夫君であるエディンバラ公爵フィリップ王配が、99歳で亡くなられました。永年、女王の背後で公務を静に支えてきたと言います。その数、65年間で2万数千件(公爵の単独公務)。女王に直接付き添う案件を加えたら、とてつもない数になるでしょう。英王室公務のほとんどは、夜会や晩餐会、音楽会です。したがって、あらゆる種類の礼服を公爵は身に付けたことでしょう。さて、礼服と言えば、ブラックやミッドナイト以外の色が認められていることをご存知でしょうか。たとえば、王室主催の競馬「ロイヤルアスコット」のドレスコードにもなっているグレイ系。また、服地もドースキンやタキシードクロス、バラシアだけではありません。春夏を意識してのモヘアやリネンで仕立て、季節感を楽しむ組み合わせも決して掟破りではないようです。要は、礼服としての許容の範囲を知ることだと思われます。若い人が犯しがちな「くずし」ではなく、定められた格式の中で「祝い」や「宴(うたげ)」、「季節」を楽しむはからいが、義務的に着られがちな礼服を活き活きさせるスパイスだと考えます。堅苦しさばかりに目をやるのではなく、礼服には心躍るアプローチがあることも忘れないでください。(バタク日比谷 菅野)