Column

新年に寄せて

新しい年が幕を開けた。ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで演奏されるウィンナーワルツのように軽快に愉しみながら1年を駆けて行きたいものだ。

ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの歴史は古く、第1回目のコンサートは1939年(初回は大晦日開催なので厳密にはジルベスターコンサート)まで遡る。現在に至るまで18人の世界的指揮者が登場。今年の指揮はリッカルド・ムーティが担当し、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の生誕200周年を祝う。

ニューイヤーコンサートの楽しみは演奏だけではない。“黄金のホール”とも呼ばれるウィーン楽友協会大ホール。色鮮やかな花々で美しく飾りつけられた唯一無二といえる豪華な空間を味わう。そしてニューイヤーコンサートの格式の高さを物語るように優雅に着飾った観客、今ではお目にかかることの少なくなったストローラースーツ(現地ではシュトレーゼマンと呼ばれる)を着用して演奏する団員。目が喜ぶとともにウィーンの脈々と受け継がれる伝統を感じる。

かつては厳しい入団条件のあったウィーン・フィルであったが、時代の流れに沿ってインターナショナルになり、女性の団員も活躍するようになった。大きな変化をしつつ、「ウィーンのサウンド」、「ウィーン・フィルのサウンド」は今も変わらず健在だ。

人も世情や年齢に合わせて様々な変化を経験する。であるならば、人に寄り添う「服」ももちろん同様に変わっていくものだろう。変わっていくものの中で、決して変わらない「着る喜び」を移り変わる時代の中でも感じ続けていたい。