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Special Interviews
―― 洋服をあつらえる時に、大切にされることは何でしょうか?
保科氏: いちばん注意していることは、できるだけ「目立たない」こと。ふたつ目にパッと見た時の清潔感。この2点を注意しています。スーツのテイストや細部についてはプロにまかせています。それよりも、いかにオーソドクスにまとめて「目立たない」ようにするかという注文に気を配ります。仕事上、私がお客様に直接ご対応するようなケースがしばしばあります。そんなとき、我々の商品やご自分のインテリアをイメージしているお客様の邪魔しないようにしたい。だから、あつらえた洋服は紺やグレーでほとんどが地味なものばかり。色はその日の行事やお客様に合わせてネクタイだけで表現しています。
―― そうした「控え目」な洋服の志向は仕事の都合だけですか?
保科氏: 私は'66年から'69年までARFLEXの工場で働いており、イタリアに滞在していました。25〜26歳の時です。最近、イタリアの洋服が雑誌等でもてはやされていますが、その頃から考えるとカタチや雰囲気はほとんど変わっていないような気がします。スーツだけでなく、靴だってまったく変わっていない。ヨーロッパの大人の男性たちは、コロコロと流行が変わっていく波の中に自分たちを置いていないのではないでしょうか。家具もそうですが、彼らは普遍的な考え方を大切にしています。先ほど我々の家具ビジネスについてお話ししましたが、私はやはりオーソドクスなものをつくりたいし、愛用したいと思います。それが、若い頃にイタリアで学んだことのひとつかもしれません。ARFLEXというブランドも実は新鮮に見えながら、何年使っても飽きのこないオーソドクスな価値を備えていますから。
保科 正氏
保科 正氏|多摩美術大学卒業後、VAN JACKET Inc.に入社。同社の店舗展開においてインテリアデザインを担当。その後、ARFLEXと出会い、現地イタリアへ修業に。VANの石津謙介氏の出資を得て、アルフレックスを日本で販売。VAN倒産後、全株を取得し、ARFLEX JAPAN LTD.社長として今日まで同社の舵を取る。2000年に「アルフレックスと私とイタリアと」(集英社インターナショナル)を上梓。
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