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Special Interviews
  デザインというのはサービス業です。歴史に検証された体系的技術論をしっかり学習した土台に、自身の経験を基に蓄積した引き出しの中から適切な回答を選んでお客様に合うものをご提供するのが仕事。もって生まれたセンスや才能だけですることではありません。
その前提として人と人が繋がることが大切なわけで、batakさんの分野ビスポークとも同じではありませんか?
―― 最後にお聞きしたいのですが、お客様に合うものを提供するためにはライフスタイルの見極めが不可欠でしょうか?
米原氏: 今、日本で言うライフスタイルという言葉は、すでに陳腐なキャッチに過ぎないと思っていますし、粗方で意味が誤用されていると感じています。スタイルという言葉は好きですが、生き方のモノサシではなく、クルマやファッション、持ち物、嗜好品といった物単体を語ることであたかも生き方が表現できるように使っていることが問題。この言葉の誤用は、ここしばらく話題の白州夫妻を、持ち物の羅列でもち上げるような話に似て私には賛同できません。有名人と同じものを入手し、同じレストランで食事してもスタイルが構築できるかというとまったく構築できない。そもそもスタイルとは、ある継続がもたらした歴史的評価基準に対して用いるべき言葉で、単なる個人の好みに対して用いる言葉ではないと思います。
実際、「これが私のライフスタイル」などと明言できる個人や企業は稀有と感じています。お客様の多くは大変すばらしい方たちですが、発注に関する経営的な判断や計画立案など、重要な決定や解決に対処すべく理論的に検討しながらも、漠然としたヒントや心中気になることを考えながら悩んでいるといったところが大半だと思います。
仕事面でお客様のライフスタイルを見極めるのではなく、こちらの生業として発揮すべき能力を用いて、相手方に何らかのキッカケを明示することだと思います。この動機づけが大変大事で、それに成功すれば、いずれはその人が自分に合ったデザインを理解することになるからです。
相手方の持つ潜在的な力を顕在化させるといったニュアンスに近いです。その時に我々の提案が彼らに適合するか否かの確証は、提案時には誰も持てませんし、絶対的指標もありませんがそうであってほしいと常に念じて事に臨むことにしています。
ILYAイメージ
米原聖一氏/株式会社イリア 執行役員。インテリア・デザイナー。
武蔵野美術大学 大学院建築コース卒業後、鹿島建設に入社。'87年〜'88年Kajima International Inc. NY。'91年よりイリアに在籍。現在、プロジェクトディレクションを数多く担当。
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