「バタク」でビスポークを始めたのは、50歳の記念みたいなものでした。それまではまったく縁がなく、洋服選びは「柄」とか「色」が基本だったと思います。数年前ですが、デパートで開催されたオーダー会で中寺さんのお仕事を拝見する機会がありました。その時見たスーツが、実に格好良かった。ジェームズ・ボンドのスーツです。しばらくして、サロンを訪ねることにしました。一度ビスポークを体験してみると、フィットするということが、“寸法が身体に合う”だけでなく、“自分らしさに合う”という意味を持っていることがわかってきましたね。