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尾谷 憲一氏

Kenichi Otani

バタクは自分を見つけてくれる。
テリトリーはクリエイティブ。その中核に建築やインテリア、プロダクト、グラフィックらのデザインを用いたブランディングを置く。このような仕事をしていても、セルフブランディングは難しいものです。例えば、すでに自身のメディアとして機能している洋服を戦略的に利用し、自身の期待する価値を高める方法です。私がセルフブランディングの効果を思い知ったのは小学生の頃のことでした。親の仕事の関係で、2年も経たないスパンで何度も転校を余儀なくされた生活。友達ができたと思ったら、また居場所のない転校生へと戻される。新しい土地で、言葉や持ち物も含めた私の外観の違いは、そこでの生活の質に大きく影響を与えました。この経験は欧米人に混じって、東洋人・日本人としてプロジェクトを進めていく、現在の仕事にも通じています。洋服はそんな他人に対する自分の見せ方を構成する役割を持っています。しかし、洋服で自身のイメージを構築することは、自身だけでは限界があります。「自分には見えない、自分」。それも自分が見せたいもので、かつ他人が魅力的だと感じるイメージ。これらは他人の目線が不可欠なのです。鏡で見る自分と肉眼で見る自分は一緒ではありません。私にとってバタクはそんな「自分には見えない、自分」をコンサルテーションしてくれる存在なのです。

尾谷 憲一氏 Mr. Kenichi Otani | クリエイティブディレクター。セゾン系の総合デベロッパーからキャリアをスタート。独立後、都市開発に係わるクリエイティブワーク、ホテル・店舗・商品のプロデュースやデザイン、海外ブランドのヴィジビリティなど広範囲な業務に対応。その歯切れの良いプレゼンテーションの上手さには定評がある。