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バンチと店頭在庫服地。

服地見本帖のことを「バンチ/Bunch」と呼ぶのはご存知の通り。服地を帳面サイズにカットして束ね、あるテーマにしたがってそれらのバリエーションが一目できるように編纂したものです。これを考案したのは服地の大手企業「スキャバル」ということになっていますが、真偽のほどはわかりません。それはともかく、バンチが実用化された当時はテーラー業界にとって画期的な出来事だったそうです。服地を在庫せずに大量のバリエーションを顧客に選択してもらえる、すなわち商いが増える。しかも、経営を圧迫する在庫を減らせる。ですから、現在もバンチによる服地選びのシステムは、カスタム・テーラーのインフラみたいな役割かもしれません。

ただし、この利便性の高いシステムに異論を唱えるマーチャントも存在します。バンチと実際の仕立て上がった服地の印象が異なって見えるからです。これは無地の場合も同様で、仕立て上がると明るく見えるケースがあります。バンチを大きめのサイズで製作しているミルやマーチャントがありますが、そのワケは言うまでもなくカットサイズと実物の印象差を極力少なくしたいからです。

顧客にとっては、裁断前の服地を目の前にして選べる方がベターなのは言うまでもありません。また、グレンチェックやツイードのような構成色が複雑な色柄はカットサイズではない方が仕上がりを容易に予想できるため、顧客の満足度は高いと言えるでしょう。とはいえ、服地の品数が数百種もある大手のマーチャントの服地をすべて原寸で店頭に在庫しておくわけにはいきません。また、かつてテーラーとマーチャントやミルをつないでいた二次問屋の役割(オンデマンド流通)を持つ小規模の羅紗屋も現在はほとんど存在していない状況です。それでも、顧客サービスを考えるならある程度のボリュームの店頭在庫は必要、というのが良識的なテーラーの考え方です。

在庫服地は仕上がりイメージだけではなく、プライス・メリットにも有効です。受注ごとに少量発注するバンチ・オーダーと違い、ある程度のロットで発注し、その在庫リスクをテーラー側が持つため、顧客への提供価格を抑えることができます。つまり、同じ服地でもバンチ・オーダーですと設定価格(正札)ですが、店頭在庫ですとそれよりもお安く提供できる。しかも、仕立て納期もすでに店頭に品があるわけですから、バンチ・オーダーより早く設定可能。もちろん、テーラーからミル/マーチャントへの発注ロットの多寡によりますが。

さて、バンチによる豊富な服地バリエーションから選ぶのか。種類はバンチほどではありませんが、仕上がりイメージがつかみやすく、プライス的にもお得なテーラーの店頭在庫から選ぶのか。どちらも楽しいし、仕上がりを待つ気分はいつもワクワクするものです。だから、洋服のオーダーはやめられない、ですね・・・ご同輩。

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