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穴の開いたハンカチの話。

バタク大阪がオープンして一カ月が過ぎました。予想を上回るたくさんのお客様にご来店いただき、心から御礼申し上げます。ご来店いただいたほとんどのお客様から「素敵なお店ですね」「こんな素敵な建物(船場ビルディング)があるなんて知らなかった」とお褒めの言葉を頂戴し、私も大変嬉しく思います。まだまだ不慣れな部分もありますが、お客様にご満足いただけるサービスに努めて参りますので、末永くよろしくお願いいたします。

先日、長年愛用しているハンカチに穴が開いていることに気が付きました。よく見ると縁のパイピング部分も裂けています。このハンカチ、色違いで2枚持っているのですが、色違いの方を確認してみるとやはり縁のパイピングが数か所裂けていました。よく考えたらもう20年も使っています。ブランド品や高価なものではありません。めちゃくちゃ気に入って購入したわけでもありません。ただ、購入した背景が忘れられない “いい思い出” として心に残っているのです。当時、贔屓のお店でジャケットを購入した際に、そのジャケットに挿すポケットチーフを思案していると担当のスタッフがこのハンカチを提案してくれました。最初は「えっ?ハンカチ??」と思いましたが、実際にジャケットに挿してみると見事に決まったのです。まさに目から鱗。固定観念(思い込み)が視野を狭くしていることに気づかされたのでした。このスタッフとの信頼関係が深まったと感じたものです。このような背景があるのでこのハンカチには愛着があるのです。このハンカチにはもう少し頑張ってもらって、もうしばらく使おうと思っています。ちなみにここ数年はポットチーフとして使うことは無く、ハンカチとして使用しています。

最近は私もネットでポチッと買い物する機会が多いのですが、やはり買い物の醍醐味はライブだと思っています。特に我々のようなテーラーという生業は採寸はもちろんですが、お客様との会話が大切なのです。会話の中からお客様が望んでいることを察し、そのご要望の上を行くサービスを提供できたときに信頼関係が築けると考えています。これは簡単なことではありませんが、ずっと続く永遠のテーマなのです。なんでも出来るわけではありませんが、ご要望などありましたら何なりとお申し付けください。(バタク大阪 工藤)