もはや戦後ではない、と言ったのは経済官僚の後藤誉之助と評論家の中野好夫でした。復興需要が一息付き、次なる新たな経済成長の時代へと駒を進める気運を表現した銘フレーズです。これを拝借し、フォーマル･ウエアの世界で表現してみると「もはやブラックスーツだけではない」と宣言してみたくなるご時世です。そう、ブラックスーツ（2ピース、3ピース）さえあればすべて佳し、ではないことにお気づきの方が昨今増えてきました。そもそもブラックスーツは便利ですが、「略礼服」です。それに、おめでたい日と喪に服する日を同じ洋服で通してしまうのも何か礼を欠くようにも思えます。そこで、にわかに脚光を浴びているのが、「準礼服」のディレクターズ･スーツ。ボトムズには縦縞模様のコール･トラウザーズ。上着にはブラックジャケットという組み合わせ。ボトムズをコール･トラウザーズにするだけで俄然、華やかな場のフォーマル･ウエアに変わります。つまり、お手持ちのブラックスーツはそのままに、ボトムズだけ加えれば礼装の幅を一気に拡げることができるのです。しかも、ワンランクの上の「準礼服」として。当店ではフォーマル･ウエアのお仕立てメニューのひとつとして、複数種のコール・トラウザーズ用服地を常にご用意しております。催事の内容やお手持ちのワードローブに合わせてご相談ください。