服地の輸入業者に聞くと、今どきヘビーウエイトのラグラン・コートを仕立てる事例は英国でも少ない、と言います。世界的に軽量化の傾向が著しく、ロンドンでもニューヨークでも軽いスーツの上に軽いコートを羽織る、という組み合わせが定着しています。しかし、厚手のラグラン・コートに想いを寄せるファンの存在を無視できません。ハリウッドで製作された戦前の映画やヨーロッパの小作品などに登場する分厚いコートに憧れ、ロンドンの古着商でラグラン・コートを見つけ出しては着用したり、古着をベースに英「マーリング& エヴァンス」などの新しいヘビーウエイトコート地を使って仕立てたりと、少数派ながら重く・厚い ラグラン・コートを注文される方が後を絶ちません。ヒッチコックの映画に主演している俳優のラグラン・コートと同じコート地で作りたい。キャロル・リード監督の作品に登場する超厚手のコートを誂えられないか。そんなヘビーウエイト ラグラン・コートに興味を寄せて来店されるお客様のために、私たちは手に入りにくいヴィンテージのコート地や戦前の映画資料を集めています。ビジネス・ユースだけでなく趣味の領域に踏み込んだ、ちょっと濃い服づくりも、私たちが得意とする仕事ですから。もちろん、季節を問わずオーダー可能です。なお、ご注文はメイド・トゥ・メジャーのみとなります。
超重い。720gのウエイト。英「マーリング & エヴァンス」のヘリンボーン・ツイード。紡績からフィニッシュまでハダーズフィールドの自社工場で一貫して行っているミルです。その品質は圧巻です。クラシック ラグラン・コートにオススメです。
さらに厚手の英「ジェームズ・スコット」ヘリンボーン・ツイード。本物のヴィンテージですが、ボリューム感が違います。
紡毛なら、英「フォックス・ブラザーズ」です。同社のツイード、フニッシュ加工が見事です。その丈夫さとエージングの妙は、仕立てた後もアナタを決して後悔させません。