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ネイビーのスーツはスーツのデフォルト?

「ネイビーのスーツはまず失敗しない」と言われ、スーツ・カラーの中のスーツ・カラーに位置づけられています。その理由のひとつとして、「権力や誠実さを相手に対して与える心理的な機能がある」と、メディア等では語られているようです。しかし、ネイビー・スーツがそのような機能を持ちうるとの明快な根拠はありません。あくまでも印象の範疇の話です。ではなぜ、ネイビーがスーツの中核カラーとして扱われるのでしょうか。単刀直入に言えば、その答えは「みんなが着ているから・・・」。現実の社会を眺めてみると、ネイビーのスーツを着ている人は他の色柄に比べて圧倒的な数なのです(※)。社会通念としてネイビーのスーツを着ることが、暗黙のルールになっていると言っても過言ではありません。ネイビーに特別な意味や効能があるわけではなく、「ビジネスや政治の世界に共通する社会認識の連鎖(約束事)と大勢を占めるメジャー感が、現代のネイビー・スーツ寡占化を招いている」。そう考えるのが、現実という根拠から導き出される答えだと思うのです。また、皆が同じネイビー・スーツであれば、服装で差違を作ることなく、着ている本人のキャラクターが前面に押し出されます。つまり、服装に左右されず、個々人の個性と個性とが向かい合う構図が明快になるはずです。さて、根源的なネイビー主義の理由を探る仕事は研究者に任せるとして、ネイビー・スーツの種類とアプローチには基本中の基本ながら実に多様であることに私どもテーラーは興味を覚えます。ネイビーとひと口に言ってもニュアンスは千差万別。織りは平織り、綾織り、織り。ポーラにリネン、モヘア・ウールなどのさまざまな素材、シャドウ系の柄、糸の種類・・・これらを数えると数百にも及びます。言い換えれば、ネイビーにこだわるとそれはそれで、深い世界にはまることになります。そこがブラック・スーツと違うところで、コレクションとして誂え始めたら終わりがない、のですね。

※就活の場面ではネイビーよりブラックの方が、最大瞬間風速的に大多数となります。(黒73%・紺25% /某量販紳士服メーカー2018年のデータより)

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