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グレイを、楽しもう。

「グレイ」のビスポーク・スーツと一言で括るには種類が多彩であり、服地を選択される場合でも各々に説得力のある理由を見つけることなど容易ではありません。海外では富裕層や役員を務めるビジネスエリートが着用している、との風聞がありますが、それには具体的な根拠があるわけではないようです。ではなぜ多くの人が「グレイ」を選ぶのか-−。黒に近いグレイから明るいグレイまで、多彩な表情を楽しむことができるのはこの服地ならではの魅力です。たとえば、明度の違いだけで組み合わせるモノトーン・スタイル。チャコールグレイのスーツにブラックのネクタイ、そして白いシャツ。1960年代の仏映画(フィルム・ノアール)でよく観られた簡素な男の美学。「グレイ」の持つドラマチックな映像を人々に印象づけました。他にもドット柄やストライプ柄といっ「柄とグレイ」の応用は職業を表す記号にもなっています。また、人と対面する場合、「グレイ」には余計なイメージを持たせない効果があると、服飾専門家から指摘されています。さて、あなたはグレイのスーツを何着お持ちですか。できれば、明・中・濃の3着は揃えておきたいものです。

写真上:離れて見るとグレイ。紡毛を得意とする「バウワー・ローバック」のバーズアイ。ドットパターンが織りなすグレイ表現にハッとさせられます。

写真中:渋いグレイ。モノトーンの切れ味。「ラムズ・ゴールデンベイル」の糸で織ったロンドンの服地商「ウエイン・シール」の70年代ビンテージ・ストック品。

写真下:濃いグレイ。ブラックに近いチャコールグレイ。「ラムズ・ゴールデンベイル」の糸で織った「テイラー&ロッジ」のストック品。