Blog

麻なのに、シワの少ない夏景色。

ビールテイスト飲料がバカ売れだそうです。コクと爽快さを備えたビール味なのに、アルコールが入っていない。以前ならこのトレードオフの関係、つまりビール味を追求するとアルコールが不可欠、という物性に異論をとなえる方が多かったのですが。さて、このトレードオフの関係ですが、私どものオリジナル服地開発でも直面して来た難題として思い起こされます。麻服地なのにシワが際立たない「バタク・クロス」のウールリネンです。この混紡服地が目指したことは、あくまでも麻の風合いを追求した上で、麻特有のシワをなるべく自然なタッチに抑えることでした。試行錯誤の上に導かれた麻とウールの混率は、麻46%、ウール54%。優れているのはシワの抑制だけではありません。麻の風合いを追求したことで実現できた「軽さ」です。「軽さ(248g)」はそのまま冷涼感につながり、麻本来が持つ熱伝導率の低さをレベルアップしてくれます。これまでは、英「スペンス・ブライソン」のような厚手で重いアイリッシュ・リネンがサマーシーズンのリネンとして流通していましたが、これからは軽くて涼やかながら、麻らしい風合いの服地がもうひとつの選択肢となることは間違いありません。盛夏のビジネス・ウエアだけでなく、遊び着〜外出着全体で捉まえられるスーツをお仕立てください。(バタク日比谷 菅野)