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オトナはヘリンボーン。やはり。

明確な根拠があるわけではありませんが、ツイードの「ヘリンボーン」柄はジャケット服地における“オトナの定番”とされています。言うまでもなく、色はグレイ。何気に見ると灰色がかった品の良い白髪のようにも見えます。英国はもちろんアメリカでは60年代以前から非常に人気があり、渋い大人の雰囲気を表現する色柄として愛好されてきました。スクリーンの世界ではダスティン・ホフマンの大学生、ジョージ・ペパードの掛けだし作家など、無数のキャラクターを演出しています。この柄は、カントリー・ツイードの中にあっても、都会的なシンプルさを表現できる稀有な例かもしれません。洋服がキャラクターの邪魔をしない。だから、キャラクターを押し出しやすい。そして、持ち前のシンプリシティが、フランス人やイタリア人が有するラテンの艶っ気を中和させてしまうのです。そういう意味で、年齢を重ねるたびに輝いてゆく世代には打って付けの服地に違いありません。日本でも80年代にツイード柄の代名詞として様々なメディアで取り上げられましたが、既製品隆盛の時代でしたので類似のものばかりが販売され、真の魅力が理解されなかったのが残念でした。だから、いまこそ注文服で「ヘリンボーン」奥深さを楽しんでいただきたいと思っています。(バタク日比谷 長谷川)