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Special Interviews
大切な人の、個人的な名刺をつくるつもりで取り組んでいます。
―― ここ数年、日本にも腕のいいビスポークテーラーが増えてきました。そんな中で、batakはどんなコンセプトで仕事をしているんですか?
中寺: 格好良さと一口に言っても、その格好良さが人それぞれによって違います。その違い、個性をはっきり見分けるのが私の商売です。ただ仕立てのいい洋服をつくるという気持ちだけではクライアント(顧客)を満足させることはできません。一つ一つ、大切な人の個人的な名刺をつくるつもりでやっています。そのクライアントの「考え方や生き様」のようなものをできる限り理解させていただき、それに敬意を表して、その方らしいその方のための一着をつくるよう努めています。スーツとはいろんな場面において、自分自身をプレゼンテーションするための良質なパッケージであるべきではないでしょうか。それがどんなに洋服として優れていても、主役であるはずの着ているご本人の雰囲気を無視したものであれば、その姿は単に意味のない贅沢品を身につけているようにしか写らない。ですから、スーツは洋服として評価されるのではなく、スーツ姿、着る方のスタイルとして評価されることが本当だと思っています。
―― では、batakの考える理想のスーツ姿とは?
中寺: スーツ姿をつくる上でもっとも気をつけていることは、いい趣味の領域からはずれないことです。要するに「普通に見える」ということを非常に意識します。「普通」とは単に地味にまとめることではありません。大人の着こなしとして決して行き過ぎず、気負わず、強い美意識の中、気品のある控えめな着こなしにまとめること。そのようなスーツ姿は、他人の目の邪魔になることなく、着る方の魅力を倍加させ、普通に見えながらもなぜか希有な雰囲気を生み出すものだと感じています。これこそが、理想的なスーツ姿ではないでしょうか。私はそのような方をお見かけすると、いつも心地よい気分になります。
中寺 広吉氏
PHOTO BY RYOICHI YAMASHITA
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