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Special Interviews
―― 本場英国のサビル・ロウの老舗の店舗は、どこも工房を地階や上階などに設けていて、いろんな職人さんが働いていますよね。
中寺: batakを立ち上げた頃は、やはり私自身パタンナーという職域からこの世界に入っているので、どちらかと言えば裁ちや縫いの工程は下職に出すという認識だったんです。けれども、お客様と向かい合ううちに本来のテーラーのあるべき姿へと昇華させていかなければいけないな、という想いが強くなりました。当然、サビル・ロウの伝統的なモノづくりのシステムが念頭にあったことは確かです。
余談ですが、サビル・ロウでも'50年代くらいからテーラーという職業を志向する人がいなくて、ずっとアフリカや東欧などからの移民や老齢の女性が職人として作業を支えてきています。サビル・ロウの工房ではいろんな国の言葉が飛び交っていますから。その状況はいまでも変わりません。それぞれが分業制で持ち場があり、裁ち台でカットするだけの人、ポケットだけを縫う人、芯据えだけを主になる人など、数人のグループで1着を仕上げていきます。もちろん、かつてこの界隈で名を馳せた個人経営のテーラー(今はもう廃業)もあって、工房の職人も少なく、店主と一緒になって少人数で仕上げる(一人が手掛けるパートが多い)システムもありました。
だだし、こうした往年のサビル・ロウ システムも近代化し、ビジネスとして効率化していくに中で、ずいぶん様変わりをしてきたようです。どちらかといえば、より無駄(単純に無駄ではないが)を排除し、移り変わる顧客のニーズに即応できるようなスリムでライトなモノづくりを志向しています。日本の銀座等にある老舗テーラーでも同じで、もちろんそれは時代に合わせた賢明な選択なのかもしれません。どういう方向を選ぶかは、各々のテーラーが自分のところにふさわしいやり方で決めるわけですが、batakとしてはただ単純に、“スーツを着ることを趣味としている人たち”が求めるであろう(たとえそれが非効率であろうが)モノづくりを実現してきましたし、今後もそのやり方を変えていくつもりはありません。
老練の職人に混ざって、若手のテーラーも仕事をする。服づくりの 技、知恵、そして魂を次代につなぐ役割を担う。
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