僕らの世代の場合、「ルールにこだわること」が基本にありました。だから、あえて服装の規則を重視する。今の若者のような「着崩す」ことはしません。洋服に対する体系的な考え方みたいなものを教えられてきたからでしょうか。僕らの世代がスーツに目覚めたのは、アメリカ東海岸の、いわゆるアイビー・リーグの学生たちが着ていた’60年代のスタイルを見てからです。その当時の雰囲気を追求しようと思っても、現代の市場には都合良くアレンジされていて欲しいものがありません。ですから、自分のプリンシプルを堅持するために、自然とビスポークへと傾倒していきました。