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40m/日の、超ヴィンテージ。

低速織機の魅力は、時間をかけて緩いテンションで織っていくため、弾性に富む豪奢な服地ができるところにあります。ただし、低速ゆえに生産性の点ではその競争力に「?」の文字を付けざるを得ません。それでも服地のクオリティにこだわり、「バタク・クロス」などを織っているションヘル式低速織機を何とか稼働させています。これよりさらに世代を遡る、黎明期の機械式シャトル織機に「ドブクロス/Dobcross」があります。現在、世界で稼働可能な個体は14台。すべてを英国最古の高級マーチャント「ホーランド&シェリー」が所有しています。1日で織り上げられる服地は約40m(現在の新鋭織機だと、約240m/日)。果たして戦力になるかと問われれば、黙して語らずの心境でしょうか。それでも(あまり儲からない)「ドブクロス」に情熱を注いでいるミルとして名を馳せているのが、ハダーズフィールドの「ジョン・クーパー」です。同社は稼働可能な「ドブクロス」織機を所有する「ホーランド&シェリー」と’71年に合併後、「ドブクロス」だけを織る「ドブクロス・ウィービング カンパニー」を立ち上げ、超ヴィンテージ・クオリティを商品化。高級志向の顧客層やマニアック・ユーザーに向けて、“博物館的クオリティ”を提供しています。ちなみに、同社の服地を扱えるテーラーは英米ともに少なく、富裕な上顧客の中でも服地にうるさいお客様を抱えた店舗に限られるそうです。

関連サイト

Dobcross関連情報[1]

Dobcross関連情報[2]

▇ ジョン・クーパー 「ドブクロス」織機で織った服地

▇ ドブクロス織機 織っている間の騒音が時代を感じさせます。

※「ジョン・クーパー」の価格については各店にお問合せください。