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必要な知恵は、映画が教えてくれる。

「今まで観た映画の中でNo.1はどの作品ですか?」と聞かれることがあるのですが、これは返答に困る質問です。正直なところ、ひとつに絞ることは極めて難しいので、いちばん多く回数を観た映画は断トツで「ゴッドファーザー」と「ゴッドファーザーPARTⅡ」です、と答えるようにしています。どちらも100回以上は観ています。初見は中学生の頃、おそらく物語の半分以上は理解できていなかったと思うのですが、テレビの画面から伝わってくる緊張感にぐいぐい引き込まれたことをよく覚えています。私はゴッドファーザー3部作をマイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の大河ドラマと捉えています。好青年から覚醒してドンになるまでを描いた1作目、ファミリーを守るため冷酷無情にならざるを得なかった姿がしびれる2作目、過去を懺悔し人間味を取り戻そうとする3作目、因果応報という言葉がそのまま当てはまるマイケルの人生にたまらなく魅力を感じるのです。と、こんな調子で「ゴッドファーザー」を語り出したらいつまでも終わりませんので、一つの見どころとしてマイケルの衣装についてお話します。よく出来ているなぁと思うのは、マイケルのその時の立場を衣装で表現していることです。1作目の前半、裏社会とは縁のないエリートの道を進むマイケルは茶系のコーデュロイジャケットに白のボタンダウンシャツ、それにレジメンタルタイを合わせています。トラウザーズはダークな色目(チャコールグレイ?)のもの。育ちの良さが一目でわかるアイビースタイルなのです。その後、覚醒するに連れて3ピース・スーツを着用するようになり、所謂マフィアらしいスタイルへと変化していきます。2作目ではシルバーグレイのシルクシャンタンのスーツをカッコよく着こなし、ニットポロにスカーフを合わせたりと上品なスタイルが見事に板についています。ある批評家が言いました。「ゴッドファーザーには人生で必要なものがすべて詰まっている。」この年末年始、もう何度目か分かりませんが3部作を一気見する予定です。(バタク大阪 工藤) 

余談になりますが、先日最終回を迎えた「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時とマイケル・コルレオーネが重なり合っていたのですが、三谷幸喜氏のこのコメントを知ってストンと落ちました。「北条義時のモデルはほとんどマイケル・コルレオーネです。」